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▼判例の考え方は

2019年9月26日「木曜日」更新の日記

2019-09-26の日記のIMAGE
おたずねの件とほとんど同じようなケースで、裁判所は、なんら賃貸人との間の信頼関係を破るものではないから、これを理由とする賃貸人の契約解除の意思表示を無効であるとしたものがあります({塁凧地裁・昭和三四・二・一六判決、判例時報二○九号一七頁)
ここで、二、三の判例をあげておきます
「夫名義で借地し、妻名義で宅地上に建物を所有して共同生活を営む夫婦が、離婚にともない夫から妻に借地権を無断譲渡しても、賃貸人が右共同生活および妻の建物所有を知って夫に貸地した等の事情がある場合には、背信行為と認めるに足りない特段の事情がある」とした事例(最高裁・昭和四四・四・二四判決、判例時報五五六号四判決、判例時報五五六号四五頁)
「家主と賃借人との間の信頼関係の基底を破壊するような転貸行為があるときは、これをもって賃貸借解除の原因となし得ることを明定した民法六一二条の立法趣旨から考えると、たとえ形式上は転貸借に類する外形があっても、一切の事情を斜酌してそれを意識的にしる無意識的にしろ、親族扶養義務の実行としてなされ(傍点筆者)かつその範囲をこえぬような場合は同条所定の解除原因たる転貸には当らぬものと解するのが相当」とした事例(大阪高裁、昭和三三・一・二七判決、下民九・一・二九)
右の判決は、親族の扶養をするために、転貸という外形が生じたとし、「……民法六一二条は、元来家主と賃借人との間の信頼関係を基底とする賃貸借において、かかる信頼関係の基底を破壊するような転貸行為があるときは、これをもって賃貸借解除の原因となし得ることを明定したのであるが、……前記認定の一切の事情を斜酌するに、控訴人が、前記のように本来は物圃である二階三畳一室を使用せしめたことは、右のような親族相互扶助のためにし、かつその範囲を超えぬものというべし」として、このような場合においては、賃貸人と賃借人との間の信頼関係を破壊するものではないとして、家主の請求を棄却しているわけです
たとえ親族間の譲渡であっても、ご質問のような事情にある場合は格別、それぞれ人格、経済事情も別なのですから、単に、営利のためとか、経済的な利得を考えての譲渡のような場合には、賃貸借契約の解除が認められると思います
結論としては、ご質問のようなケースでは、無断譲渡・転貸にはならないと考えます
せっかく承諾を求めてきたのですから、承諾してあげるべきではないでしょうか

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